美容外科治療を受ける前に知って欲しいこと・・・美肌レーザー

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美肌レーザー

雑誌やインターネットで、様々なメスを使わない最新治療ということで、しわ取り、美肌、ダイエットさらに傷あとに効果があるというレーザー、高周波、フォトフェイシャル、光治療が紹介されています。私たちはどうも、最新レーザーという言葉に弱い?傾向があるようで、さらに英語で機械の名前が紹介されていると、よくわからないまま効くような気になってしまいます。残念ながら医師の中でも、機械になると苦手で、レーザー販売業者の言うことをうのみにして、そのまま患者さんに説明するところもあるいるようですが・・・


光の皮膚作用を利用したレーザー治療は、20年前ぐらいから先天的なあざ、血管腫といった疾患に対して効果が証明され、最新技術というにはあたらないかもしれません。また外科手術でもレーザーメスはすでに、腫瘍の切除などに一般的に使われつつあります。しかし、シミ、しわ、毛穴などの美肌の治療としては、まだ完全に確立したとはいえません。にもかかわらず、次々と新しい治療器が開発、紹介されており、我々美容医療にたずさわる医師も、評価が追いつかない現状です。他の病院が購入したから自分のところも導入しなければ遅れる!効果はわからないけど購入してしまったから適応でなくても治療に使う!といった施設も多いのではないかと思います。


レーザー、フォトフェイシャル、RF(高周波、ラジオ波)、フォトRF(フォトフェイシャルと高周波の複合機)など美肌治療機として紹介されているものは、原理的にはどれも皮膚組織に様々な周波数の光波長、電気波をあてて皮膚反応を起こさせるものです。そしてその反応とはすべて熱エネルギーとなって作用するため、当然無理をすれば、やけどに近い反応が起こりうるということです。直後より皮膚がリフトアップする、毛穴が見えなくなるというのは、熱による一時的な硬縮作用であり、長期的に持続させる為には、なるべくダメージを残さないように細心の注意とケアーが必要です。魔法のようにシミがとれる、しわが無くなるわけでありません。逆に早急な効果は、実は長期的には、皮膚を傷めているのかもしれません。


一つレーザーによるシミ治療の原理を例に挙げてみましょう。そもそもレーザーは一種類の光源から出される同じ波長の光の束です。同じ波長という事は、同じある物質に吸収されやすい特徴を持っていますから、例えばメラニンに吸収されやすい波長をもったレーザーならば、選択的にメラニン粒子に吸収され、その結果熱に代わり破壊します。子供のころ虫眼鏡で黒く塗った紙を焦がしたことは皆さんあると思いますが、太陽光の中には黒いものに吸収しやすい光が多く含まれているからです。肌の中の黒いシミ(メラニン)だけを狙って正確に照射すればシミ治療が進んでいくのです。しかし、熱が他の部位に多く入ってしまえば逆に肌絵のダメージを残し、逆に色素沈着起こしてしまうこともあり得るわけです。正確にメラニンの位置を把握し、それに合ったレーザーを選択してこそ効果が得られるのです。


レーザーであれ、他の高周波機器であれ治療機械は、あくまでも道具です。治療するのは私たち医師であり、どんなすばらしい機械があっても万能ではなく、どう診断し、選択するかは常に知識を得て、患者さんと接しながら生まれる経験の積み重ねです。シミ、赤み、にきび、毛穴、たるみなど肌のトラブル、悩みがあれば、まず正確な診察を受けて、医学的な治療法、ケアーを考えて行きましょう。


アジアン美容クリニック 院長、帝京大学美容センター 講師  鄭 憲

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