美容外科治療を受ける前に知って欲しいこと・・・糸によるフェイスリフト

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糸によるフェイスリフト

手術によるしわ取り、フェイスリフト術は、皮膚が薄くタルミが目立ちやすい部位、あご下や頬のラインなど重力に負けて下がった部位を引き上げる究極の治療法です。しかし、当然 熟練の技術のもと手術の適応を見極めなければいけません。また、しかし手術までは怖い、時間がないなど効果だけを考えて誰でも踏み切れるものでは当然ありません。


そこで、切らずに簡単に顔のリフトができるということで話題の治療が、糸によるフェイスリフトです。一般的には、スレッドリフト、フェザーリフト、アプトス他、糸による○○リフトと呼ばれる治療です。また同様に金の糸、ゴールデンリフトといわれる治療法もよくマスコミに紹介され、当クリニックにも問い合わせが多くきます。それぞれどのような治療で、実際の効果、安全性はどうでしょうか?


通常、美容外科医が糸による治療としておこなっているものは、毛ばりのついたポリプロプレンという非吸収数性素材を顔の真皮から皮下に斜めに通してやや吊り上げて留める方法です。首、頬、こめかみ、額と希望する部位によって、数本ずつ挿入します。皮膚の切除等はおこなはないか、数ミリ穴をあけるだけですから、タルミがそれほど強くない方、長く時間の取れない方には適応であると思います。皮膚の薄くデリケートな方は糸の異物感を気にする人もあり、最近ではほとんど吸収性の糸を用いていますから、リフト効果は吸収されるまでの1~2年ぐらいと考えられます。吸収性の糸を入れたことで組織反応を起しコラーゲン再生をうたっていますが、リフトアップの効果までは難しいと判断します。しかし、手術の手軽さ、傷跡の目立たなさ、回復時間の短さを考えれば、十分に理解してやる価値はあります。


金の糸はどうでしょう?こちらは、残念ながらまだはっきりした効果は確認されえていません。針、灸に使う金糸の長いものを、皮下に何本も通すだけという治療であり、美容外科、形成外科というより民間療法に近い技術です。金によるイオン効果で肌に張りを出すという説明ですが、医学的データーはまだ乏しく、実際に受けた人々の反応のはっきりしません。もう少し経過観察が必要でしょう。当院でも独自の研究課題としています。希望する場合は、少なくても、マスコミや安易な宣伝文句で判断せず、形成外科専門医に相談すべきです。

美容外科、美容治療には勿論、絶対これでなくてはいけないという治療法はありません。その方その方の状態、希望、都合、考え方に合う、適した方法があるはずです。簡単と思われる治療も、技術的には簡単だとは限りません。医師がそれしかできないからその方法しか勧めないこともあります。また、いくら効果のある方法でも、患者さんが望まないものを進めることも正しい治療ではありません。その治療法の長所、短所すべて説明し判断していただく材料を提供し客観的アドバイスをするのが専門医のあり方だと考えます。


アジアン美容クリニック 院長、帝京大学附属病院美容外科 講師  鄭 憲

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