美容外科治療を受ける前に知って欲しいこと・・・注射によるアンチエイジング治療

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注射によるアンチエイジング治療

私は美容医療で現在おこなわれている治療に関して、できるだけ正確な知識を 多くの人に知ってもらいたいと考え、新聞、雑誌の記事、コラム、ホームページ、講演などをとおして説明してきました。しかし、それ以上に莫大な宣伝費や広告を通して テレビやインターネット、大衆雑誌に紹介される情報は遥かに大きな影響を与えるものであることは実感するものです。特にその副作用で、当院に相談に来る患者さんの多くが 美容目的で使われる注射、フィラー、脂肪、自己コラーゲンなど、その意味、安全性に関して十分な説明をされないまま、治療を受けたケースが多いのです。今回 このホームページを通して最新の美容医療での注射治療に関して、まとめ、その中心である ボトックス、コラーゲン、ヒアルロン酸に関して説明します。


現在 注射による美容治療として実際におこなわれ、よく紹介されているものは以下のものがあります。


【ヒアルロン酸、コラーゲン製剤】

まずシワの改善目的で安全性が認められているものとしては、ヒアルロン酸製剤、コラーゲン製剤が現在主流であります。(最近はハイドロキシアパタイト製剤も使用されていますが、安全性に関する評価はもう少し時間が必要だと考えます・・・)一方 ボトックス(BOTOX)は、筋肉に作用して、眉間、目尻、額などの表情によってできるシワをできにくくするものですから、少し目的や作用部位が異なります。とにかく 皮膚や皮下に注入することでシワを持ち上げたり、皮膚の張りを持たせるものは、原則 ヒアルロン酸やコラーゲンのような皮膚の構成成分で、基本的には1年以内に吸収されるものであるべきだと考えます。


【自己脂肪注入法】

目的としては、頬やこめかみ、額などの窪みを改善する目的で、お尻やお腹、大腿部から採取して、良い脂肪細胞を選び、皮下に注入します。自己細胞ですから安全であると言えます。反面 医師の注入技術によって 吸収率の差がでること、部位によっても生着率の差があるため、目の周囲や、微細な凹凸の調節は難しい面もあります。また鼻や顎など輪郭の矯正には柔らかすぎて適しません。経験のある病院でも 顔なら50~60パーセント前後。胸なら35~50パーセントの生着率ぐらいでしょう。最近は繊維芽細胞を脂肪と一緒に混ぜることで生着率を上げる研究も進行中です。


【その他のフィラー】

アテコール(Artecoll)ダーマライブ(Dermalive)アクアミド(Aquamid)などヒアルロン酸やコラーゲンに アクリル粒子を混ぜたものや、ポリアクリアミドゲルでできた製品も 多くのクリニックで使われてきました。しかし、持続性だけが強調され、安全性に関しては十分な検討がされていないため、当院では使用していません。短期的にはよくても、長期的に自分の皮膚、組織が変化することを考えると自然さが失われる可能性は否定できません。さらに、副作用を起こした場合 一生 消失しないことになります。残念ながら 今のところ、異物だけを完全に除去する手術も、溶かす注射もありませんが、私のクリニックでは、少しづつ減らして、皮膚を回復させる治療をおこない効果をあげています。


【PRP(自己多血小板血漿療法)、自己コラーゲン注入】

PRPは新しい治療法として話題になっています。自分の血液を遠心分離して血小板と成長因子の多い部分を、採取し皮膚に注入することで、皮膚が再生し若返るというものですが、まだ効果的には不明な部分も多く、話題のみが先行している感じがします。自己コラーゲンに関しては自己脂肪を遠心分離して皮膚に注入するものですが、その成分に本当にコラーゲンが含まれているのかやや疑わしいでしょう。


治療を受けるとき、話題性や 命名に惑わされずに、十分に説明を受け治療を考えることが大切です。


アジアン美容クリニック 院長、帝京大学附属病院美容センター講師 鄭 憲

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